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名言集2212

山路(やまみち)を登りながら、
こう考えた。
  
智に働けば角が立つ。
情に棹(さお)させば流される。
意地を通せば窮屈だ。
兎角に人の世は住みにくい。
  

(夏目漱石「草枕」)

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コメント

住みにくさが高じると、
安い所へ引き越したくなる。
どこへ越しても住みにくいと悟った時、
詩が生れて、画が出来る。
  
人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。
やはり向う三軒両隣りにちらちらするただの人である。
ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、
越す国はあるまい。
あれば人でなしの国へ行くばかりだ。
人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。
  
越す事のならぬ世が住みにくければ、
住みにくい所をどれほどか、寛容(くつろげ)て、
束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。
  
ここに詩人という天職が出来て、
ここに画家という使命が降(くだ)る。
あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、
人の心を豊かにするが故ゆえに尊(たっ)とい。
  

       

投稿: しっ | 2021年11月29日 (月) 06時55分

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