名言集2212
山路(やまみち)を登りながら、
こう考えた。
智に働けば角が立つ。
情に棹(さお)させば流される。
意地を通せば窮屈だ。
兎角に人の世は住みにくい。
(夏目漱石「草枕」)
近代以後の哲学は
大きく二つの課題をもっている。
一つは人間関係や社会をうまく
調整するために必要な知恵を蓄えること。
もう一つは、個々人が
よく生きるための考えを成熟させること。
(竹田青嗣「中学生からの哲学「超」入門
─自分の意志を持つということ」)
自分がある社会に
単に所属しているというだけではなく、
その社会を構築し発展・成長させている
主体であるという効力感がなければ、
その社会において道徳的に振る舞い、
その社会を道徳的にしようとする義務感は
けっして生じない。
(河野哲也「道徳を問いなおす
リベラリズムと教育のゆくえ」)
大衆とは、善い意味でも悪い意味でも、
自分自身に特殊な価値を認めようとはせず、
自分は「すべての人」と同じであると感じ、
そのことに苦痛を覚えるどころか、
他の人々と同一であると感ずることに
喜びを見出しているすべての人のことである。
(ホセ・オルテガ・イ・ガセット「大衆の反逆」)
人間は自分自身の歴史をつくる。
だが、思う侭にではない。
自分で選んだ環境のもとでではなくて、
すぐ目の前にある、あたえられ、
持越されてきた環境のもとで
つくるのである。
(カール・ハインリヒ・マルクス
『ルイ・ボナパルトのブリュメール十八日』)
カントはこう述べている。
「何人も自分の考える幸福感に従って幸せになる
ことを私に強いることはできない。
なぜなら他者の自由を侵害しないかぎり、
人間はみな自分に合った幸福を
探すことができるからだ」
(マイケル・サンデル
『これからの「正義」の話をしよう
─いまを生き延びるための哲学』)