名言集1860
人生を縦に見れば
理想も希望もあり。
之を横に見たる時、吾人は
唯痛ましき精力消耗の戦いを見る。
(石川啄木「百回通信」)
日常生活は、
意外に細々としたスケジュールに区切られていて、
雑念が入らないようになっている。
チャイムが鳴り、移動する。
バスに乗り、降りる。
歯を磨く。食事をする。
どれも慣れてしまえば、
深く考えることなく反射的にできる。
(恩田陸「夜のピクニック」)
待つ。
ああ、人間の生活には、
喜んだり怒ったり悲しんだり憎んだり、
いろいろの感情があるけれども、
けれどもそれは人間の生活の
ほんの一パーセントを占めているだけの感情で、
あとの九十九パーセントは、
ただ待って暮らしている
のではないでしょうか。
(太宰治「斜陽」)
詩人もまた他の人々と同じく、
この生と生活との不一致に
悩まされているのである。
彼は決して局外者であることは許されない。
むしろ詩人にとって最も必要なことは、
進んでそのジレムマの中に身を置くことだと
私は考える。
(谷川俊太郎『詩を考える』)
人は誰でも、一生の内に一度位は
「詩人」になるものだ。
だが、大抵は
「詩人」であることを止めたときから
自分本来の人生を生きはじめる。
そして、かつて詩を書いた
少年時代や少女時代に
憎悪と郷愁を感じながら、
たくましい生活者の地歩を
固めていくのである。
(寺山修司「ひとりぼっちのあなたに」)
ある事柄、ある人々への
愛と義務感によって働きなさい。
早くから自分自身を超えて、
自分だけのために生活しないということが、
青年を向上させ、強健にさせ、
事に屈せぬ力を与える唯一の道である。
(ヒルティ『幸福論』)